続編はうってかわって銀行内部のちまちました人事抗争の話に終始する。金融システムが腐っているから経営陣も腐るのか、はたまたその逆なのかはわからないが、クズの銀行役員同士のゴミのような人事抗争。それに振り回される銀行員たち。この話もおおむね事実に即しているのだろうから(モデルは某銀行)、こういうカスのような話は多かれ少なかれ実在したのだろうがそれにしてもあほくさい。
フィクサーが出てくるのもいただけないが、主人公と若い女子行員との不倫の話も現実感が乏しい。おやじ好きの若い女は何らかの意味でファザコンの素因なり家庭環境を持つのだが、そういう背景を書き込まずにすませた著者の安易さが気に入らない。
かろうじてこの本を読んで収穫があったとしたら、国民的英雄と目される人物が実体は全く違う人物であることを繰り返し繰り返し強調してあることか。
日本の「失われた十年」が依然終わらないまま、さらに年月を空費しているのは、すべての銀行経営者を投獄しなかったからだというのもうなづける。